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「円さん、全力でいくからね。」 「はい、涼子さん。わたしも負けませんから!」 リング中央で握手する両選手。 「各自、コーナーへ。」 レフリーの指示のもと、各々のコーナーへと下がっていく2人。 カァーーン! 試合開始を告げるゴング音とともに、両雄共、コーナーから勢いよく跳び出していった。 ガッ…ズシャッッ 正面から組み合うと見せかけた来生は一転、久藤の足にカニ挟みを仕掛ける。 「あ、きゃっ…」 予想外の攻撃にたまらず転倒する久藤。その久藤の足をすかさず取りにいく来生…。 オーソドックスな戦法で、確実に攻める来生。久藤の打撃技を警戒してか、まずは足狙いの様だ… |
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あまりにも勢いがあり過ぎた。 タックルで倒された来生の身体は、もう既にサードロープの外に出ていた。 ロープブレイク、二人はロープを挟んで立ち上がった。 いきなり、久藤が来生の首を抱え込む。 ロープ越しのブレインバスター、あるいはフロントネックチャンスリーを狙っているのだ。 トップロープとセカンドロープを掴んで、必死にこらえる来生。 久藤はセカンドロープを掴む来生の手を蹴りはらい、踏みにじって外した。 そして、トップロープも... 気がつけば、久藤は恐ろしく中途半端な体勢でロープの上に乗っている。 だが、久藤は、その体勢のまま、強引に来生の身体を抜き上げてしまった。 しかし、無理な体勢からの強引な引っこ抜きに、腰と膝が軋む。 不安定な空中姿勢。 段違いのロープから、まるで違う方向に反発力が伝わる。 久藤、第一に、自分自身の受け身がとれるのか? 高い弧を描いた二人の身体がマットに落ちて、撥ねた。 二人とも動かない。 ダブルノックダウン。 先に立ち上がるのはどっちだ? それとも... 試合の行方は、全く分からない。 |
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意外にも先に立ちあがったのは、投げられた来生だった。 「なんて無茶するの、あの体勢から投げるなんて・・・」 白川の事ばかり考え、少々油断していたのかもしれない。 久藤を見ると、ダメージが大きかったのかまだダウンしている。 チャンス!フォール?関節技?それとも・・・。 一瞬の躊躇、そして。 「イチチチチッ、ちょっと強引だったかな?」 頭を押さえつつ、ヨロヨロと立ちあがる久藤。 「来生さんは?・・・いない?」 「こっちだ!円ぁー!」 「え?」 振り向こうとした瞬間、背中に衝撃が走る。 『紅の弾丸娘』の異名どおり、鋭いミサイルキックが久藤の体に突き突き刺さった! |
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「レフリー!、カウントっ!」 「ワン、ツゥー…」 すかさずカバーに入った来生だが、久藤もカウント2で返す。 (…っう〜、先刻の無茶苦茶なバスター、まだ効いてるよ…) 久藤をハイアングルのボディスラムで叩きつけながらも、時々くらっとくる感覚に来生は舌打ちしていた。 (…でも……でも、やっぱ楽しいッ!) 勝ちを意識し過ぎるあまりに、自分で自分のペースを乱していた来生だったが、 久藤の真直ぐな、そして予想もつかない攻撃にワクワクしている、そんな自分を押さえきれなくなっていた。 『闘るんなら、思いっきり!。そして、真っ正面からッ!』 “弾丸娘”来生は、いつもの自分を取り戻した。 「このォッ!」 コーナーに久藤を振るや、ダッシュして追撃のドロップキックを浴びせる。 更に蹴った勢いでバク宙を切り、続けてショルダータックルをボディに決める。 ターンショット。 跳び技を得意とする来生の連続技だ。 「かはっ…」 衝撃に久藤の身体が浮きかける。 その久藤の身体をコーナーに抱え上げるや、来生はすかさずトップロープに駆け登った。 「まどかぁ!、“投げ”ってのは、こォやるんだ〜ッ!」 決めるッ!、来生は得意の変形フィッシャーマンズ・バスターで勝負に出た。 |
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「かはっ・・」 雪崩式変形フィッシャーマンズ・バスターをくらい、大の字になる久藤。 目の焦点は定まっておらず、ピクリとも動かない。 勝利を確信し、来生はすかさずフォールに入る。 ワン!・・ツー!・・ス・・ 「う、うああっ!」 しかし、久藤はカウント2.9でそれを跳ねのけ、雄叫びを上げて立ち上がった。 「なっ!?」 完全に決まったと思ったところを返され、呆然となる来生。 「でやあああああっっ!!」 「!?」 その一瞬の隙に、久藤は来生のバックを取る。 その刹那、来生は首からマットに叩きられていた。 「くあっ!?」 久藤のバックドロップは、クラッチの瞬間に投げに入っている「タメ」のない高速バックドロップで、受身が取り難い。 しかもフィニッシュに使う際の一撃には捻りが加わっており、危険な角度でマットに叩きつけられる。 「く・・ぅ・・ま、まだまだぁっ・・」 しかし、この会心の一撃をもってしても来生は立ち上がった。 (これで倒せないならっ!) 瞬時に己の間合いを取り、腰を落とし、右脚に力を込める。 「はああっ!!」 勝負を決するべく、久藤は温存していた切札、右ハイキック「円圏斧」を抜き放った!。 「うく・・あっ・・・」 棒立ち状態の即頭部を蹴り抜かれ、来生は腰から崩れ落ちる。 そこを薙ぎ倒すようにフォールに入る久藤。 そして、レフリーの掌はカウントを三度打ち鳴らした。 12分45秒 ○久藤 円 (片エビ固め) 来生涼子●
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