〜シンデレラ・トーナメント サイド・ストーリー導入部「美紗&涼子篇」〜

 

「…で、何の用?」

試合が全て終わり、帰路に着こうとしていた白川美紗は、同期の来生涼子に呼び止められた。

「わかっているでしょ、美紗。」

「また…、アノ話?」

「そうよ、ベビーフェイスに、いえ、昔のあなたに戻って!、美紗。」

「…」

「美紗、何があったのかは分からないわ。でも今の美紗は、本当の美紗じゃないよッ。」

「…」

「反則技なんか使わなくったって、美紗はホントはすごく強いのに、なんであんな風に…」

「言いたい事はそれだけ?」

「美紗…」

「なら、帰るわ…。」

「美紗ッ!」

涼子は帰ろうとした美紗の腕を思わず掴んでいた。

しかし、美紗はその腕を逆に掴み返すや、それを捻じり上げ、更に空いてい腕で涼子の首をスリーパーの様に極める。

「うっ、ぐっ…」

「鬱陶しいのよ。」

涼子の耳元で美紗の甘く囁いた。

ドンッ!

涼子は空いている腕の肘を美紗のボディに思いきり叩き込んだ。

「くっ…」

美紗の絞めている腕がわずかに弛む。その僅かな隙に涼子は美紗の絞め技から脱出する。

「美紗ッ!」

「…」

なにかに縋るような瞳で美紗を見つめる涼子。

逆に表情もなく、ただ冷たい視線を投げかける美紗。

2人の間に、緊張した時間が流れた。

 

しかし、その緊張を破ったのは、以外にも美紗の方だった。

「…いいわよ、考えてあげても。」

「ホント、美紗っ。」

「でも、条件があるわ。」

「条件?!」

「そう…今度わたしたちの出場する“シンデレラ・トーナメント”。」

「そこであなたがわたしに直接勝つか、優勝を果たしたなら、あなたの言う通りにし

てあげるわ。」

「“シンデレラ・トーナメント”で…」

「それにそう、なぜ、わたしがヒールに転向したのかも、全て話してあげるわ。」

「美紗…」

「喜ぶのはまだ早いわよ。」

「?!」

「でも、もしそれが出来なかったなら、トーナメント終了後…」

「わたしとの、時間無制限の“金網10カウントKOデスマッチ”を受けてもらうわ。」

「み、美紗っ…」

「この試合形式は…わかっているわよね。たとえ相手が失神していても…」

「無理矢理立たせてでも10カウントを取らせなければ、やりたい放題…の喧嘩マッチ。」

「そうよ。どう?、これでも闘る気がある?!」

「美紗…」

 

条件としては最悪だ。

自分とほぼ同レベルの選手が集う“シンデレラ・トーナメント”。

美紗と直接当たれるかどうかも分からず、まして、当たったとしても美紗に必ず勝てるとも限らない。

また、もし当たらなかったとしても、実力が伯仲しているトーナメントを征する事が出来るかどうかすら、分からない。

最悪、美紗とのデスマッチを迎えるとしても、凶器や反則攻撃を極端に嫌う涼子にとって、その試合形式は余りにも不利だった。

 

しかし、涼子は美紗にはっきりと言った。

「いいわ、その条件で受けるわ。」

 

美紗の表情が少しだけ動いた。

「ほぅ…いい度胸ね…。」

 

美紗は涼子に背を向け、立ち去りながらこう云った。

「愉しみにしてるわよ。金網でのデスマッチを…」

しかし涼子は、そんな美紗に、

「トーナメントで、わたしはあなたを倒すッ!。そして、そして…」

「昔のあなたに戻してあげるッ!」

そう叫んだのだった。

 

壮行試合

 

scene#1

 

 シンデレラトーナメント開催を数日後に控えたこの日、出場を予定している久藤円、滝沢楓の両名の為の壮行試合が行われた。

 形式はタッグマッチ。

 久藤と滝沢は以前よりタッグを組んでおり

 ユニット『SHINING・HEART』として息の合ったコンビぶりを見せている。

 

 対するは同期の立花巴、後輩の天宮光のコンビ『WILD−WING(通称WU)』力と技と抜け目無さとアピール性を備えた、実力、評価ともに一枚久藤・滝沢組を上回っているコンビである。

 

 「ここはアンタ達に花を持たせるべきなんだろうけど」

 「こないだ負けた分の借り、ここで返すのも美味しいですよね〜」

 そう言って口元に軽く笑みを浮かべる立花と天宮。

 「そぉはいかないからね!」

 「こら円、あっさり挑発に乗るんじゃないの」

 「え、あ、ご、ごめん」

 早くも空回り癖が顔を出す久藤とそれをいつものように慣れた口調でそれを制する滝沢。

 「はいはい4人ともそこまでそこまで。試合、始めるよ」

 この試合のレフェリーは団体の正レフェリーである

 迫水要(さこみず・かなめ)。

 シンデレラトーナメントには副レフェリーである海原涼がレフェリーとして参加する予定だが、今回の試合では観戦に回っている。

 

 「壮行試合で負けたりしたらカッコつかないし、今日もきっちり決めてくよ、円」

 「オッケ。任せといてよ」

 「任せられればいいんだけどね」

 「心配要らないって。ドーンと決めてくるから!」

 

 「円が先発か。じゃ、光、頼むわ」

 「りょーかいっ!一発、ドンと決めてきますね!」

 ゴングと同時に、久藤、そして天宮は共に相手をめがけて真っ直ぐ突進していった。

 

scene#2

 

 ゴングと同時にタックルを仕掛ける久藤。しかし天宮はそれを完全に見切っていた。

 仕掛けてきた久藤の背を踏み台にトンボを切って後ろに回り、すかさずソバットを叩き込む。

 「あうっ・・・」

 「ほい、ご苦労さんっと!」

 そして倒れた久藤にすかさず立花のストンピングが落とされる。

 「くあ・・・っ」

 「相変わらず一直線に来るねえ。ま、それがアンタの持ち味なわけだけど。でも、ちょっとくらい変化してもバチは当たらないと思うわけよ私としては。円はどう思う?」

 力いっぱいストンピングを叩き込みながらおどけた口調で立花が尋ねる。

 「今は・・・そんな事言ってる時じゃ・・うわっ!?」

 ハンマーのように降り注ぐ脚を払いのけようとする久藤。

 「それは私も聞きたいっスね〜」

 しかしそこへ新たに天宮のギロチンドロップが降り注ぐ。

 「く・・う」

 起き上がる事も出来ず、されるがままの久藤。

 「・・・て、ちょっとは反撃してよ円。つまんないなあ」

 「調子に・・・乗るんじゃないっての!」

 この流れを切ったのは滝沢のドロップキック。

 「おわっ!?」

 このカットにたまらず場外へと落ちる立花。

 「か、楓・・ごめん」

 「そんなのは後!さっさとタッチする!」

 「え、え、う・・うん」

 強引にタッチをさせ、改めて体勢を整える滝沢。

 そこへ背後から天宮の高らかな雄たけびが響く。

 「シャイニング!ライダーキィーック!!」

 スワンダイブからの前方回転捻り飛び込み式キック。

 天宮の得意技の一つが振り向いた滝沢の顔面を捉えた。

 「ぐあっ・・・!」

 「ふっふ〜ん、油断大敵ですよ、先輩」

 完璧なタイミングで入った一撃に満悦の表情を浮かべる天宮。

 「っくう・・・」

 (まったくこの子は羽根でも生えてるみたいによく飛ぶ!)

 それとは対照的に滝沢は口中に僅かに感じる血の味に顔をしかめる。

 「・・・ところで、さっきのキック、この間はライトニングライダーキックとか何とか言ってた気がするんだけど?」

 ここで闇雲に仕掛けたら相手のペースになる。

 自分を落ち着かせる意味で、ふと気づいた事を尋ねる滝沢。

 「おっ、さっすが滝沢先輩。細かいとこに気がついてくれますね」

 それを天宮は嬉しそうに受け、満面の笑みを浮かべる。

 「性分でね」

 そんな天宮には思わずつられて苦笑する滝沢。

 「技のバージョンアップにも気づいてもらった事だし、滝沢先輩にはこないだギブアップ取られた分も含めて今日はそのお返しをさせてもらいますね?」

 「・・何だったらもう一回タップさせてあげようか?」

 間合いを計りながら仕掛ける隙を窺う2人。その様子を

 余裕綽々の立花と心配を隠せない久藤が見守っていた。

scene#3

 

 リング内外を所狭しと飛び回り、滝沢に攻めるきっかけを与えない天宮。

 (そろそろ息が切れる頃かなっ・・・)

 しかし、滝沢も高さとスピードのあるキックに何度もダウンさせられながらしっかりと相手を捕らえる機会を窺っていた。

 「・・・ぷはぁっ」

 その思惑通り、息の上がった天宮の動きが止まり膝をついている滝沢に不用意にブレーンバスターを仕掛けようと組み付いてきた。

 (よっし!来たっ!)

 こうなると滝沢の思うツボである。逆に相手の首を抱え込みDDTで脳天から叩き落し、素早く脚を捕らえて一気に膝十字固めへと持ち込む。

 「・・・っ!?」

 生命線である脚が軋み、天宮の顔に苦悶の色が浮かぶ。

 (あ〜あ、光ってばああいう不用意な所がいつになっても抜けないなあ)その様子に小さくため息をつく立花。

 (円・・・円っ!)

 一方、滝沢はコーナーに控える久藤にアイコンタクトを送っていた。

 (OK!任せてよ!)

 基本的には鈍い久藤だがこの時は瞬時に意図を理解してアイコンタクトを送り返す。

 (いつもこれくらい話が早ければいいんだけどっ)

 話が通じたのを察した滝沢は膝十字を解き、ハイアングルバックスラムで豪快に天宮をマットに叩きつけた。

 「かはっ・・・」

 小柄で軽量な天宮の体を衝撃が駆け抜ける。

 (効くなぁ・・・ったく、滝沢センパイ、見た目より馬鹿力なんだからズルイよね・・・)

 息がつまるような苦しさの中、毒づく天宮。効いてはいるがこれで起き上がれなくなる程ではない。

 追撃が来ないのが気になるがダウンしたままでいるわけにもいかない。

 (何狙ってるのかな、センパイ・・・)

 ふらつきながら立ち上がり、滝沢を視界に捉える天宮。

 しかし、次の瞬間急激に視界が回転を始めた。

 天宮の首と顎を飛び込んできた久藤の右腕が打ち抜いていたのだ。

 一瞬でトップスピードに乗せる久藤の一撃を不意に受け、天宮は半失神状態でマットに叩きつけられた。

scene#4

 ダウンした天宮をすかさずフォールしようとする滝沢。

 しかし、その滝沢を立花のビッグブーツが場外に叩き落す。

 久藤も既にラリアートの勢いをそのままカウンターしたビッグブーツで場外に落とされていた。

 「伊達に同期はしてないってね。そっちの考える事はだいたいわかるんだな」

 場外に倒れる二人を見渡し、してやったりの表情を浮かべる立花。

 「さてと・・・」

 続けてリング中央で大の字状態の天宮へと視線を下し、

 「ほらさっさと起きる!・・・起きろってば!」

 平手打ちをして気つけをするも天宮は起き上がれない。

 「しょうがないなあ」

 立花は小さくため息をつきつつ天宮を自コーナーまで引きずり、強引にタッチさせて試合を権利を移動させる。

 「楓、今度は私が行くよ」

 「焦らないでジックリ行きなさいよね。巴は狸なんだから」

 「わかってるよ」

 久藤も滝沢からタッチを受け、試合が再び動き出す。

 

 ここからは一方的な展開が続いた。

 立花のパワー殺法が久藤を蹂躙し、滝沢のカットも息を吹き返した天宮に阻まれタッチもままならない。

 「く・・う・・」

 完全に足が止まってしまい得意の打撃を出すどころか立花にしがみつくのがやっとの状態の久藤。

 「気つけの一発、いっとこうか?」

 余裕綽々の立花はそう言うと久藤を軽々と担ぎ上げ、気つけどころかフィニッシュ技であるデスバレーボムを放った。

scene#5

 鈍く重い音がリングに響く。立花のデスバレーボムは息を呑むような角度で久藤をマットに突き刺していた。

 「おっと、決まっちゃったかな?」

 大の字に倒れた半失神状態の久藤を踏みつけ、相手コーナーの滝沢に不敵な視線を送る立花。

 「くっ・・」

 (馬鹿にしてくれるじゃないのまったく・・・!)

 その余裕に歯軋りする滝沢。しかしタッチするにはあまりに遠く、カットも俊敏な天宮に遮られてしまう。

 「さて、壮行試合なんだし少しサービスしてあげようかな」

 立花はその心中を見透かすように動けない久藤を担ぎ上げ、滝沢の立つコーナーへと投げ飛ばした。

 (つくづく馬鹿にしてくれるじゃない・・・!)

 小さく唇を噛み、起き上がれないどころか反応すら出来ないでいる久藤に強引にタッチをし飛び出す滝沢。

 しかし実質2vs1の状態では滝沢も流れを変える事は出来ず、5分と経たずにグロッキー状態に追い込まれてしまう。

 「ほんじゃそろそろ決めますか」

 しがみつく滝沢を軽々と肩車に抱え上げる立花。

 (このまま後ろに落とすっての?・・それなら・・っ!?)

 半ば朦朧とした意識の中、受身の姿勢に入った滝沢の視界に跳躍する天宮の姿が映る。

 「っ!?」

 次の瞬間、ロックされた滝沢の頭部はダイレクトにマットへと叩きつけられていた。

 

To be continued.


「準決勝第2試合」波乱のプロローグ

 

魔女潜伏中

越川:あのぉ、宝樹(たからぎ)さん、見ましたぁ?

しらは:由美?あいつ、今はシリーズ契約のフリーで外人扱いだからな。俺らは知らないぞ。

何だ、由美、来てるのか?

越 川:いえ、あたしの試合、観に来てくれるって言ってたもんで...見かけなかったら、別にいーです。

 晶 :ゴキン!(拳骨)思わせぶりな口、叩くんじゃない!

しらは:そう言えば、越川、入場音楽、由美のだったろ?...ったく、ドキッとしたぞ、ノリコあたりはゾッとしたろうけどな。

あれ、どうしたんだ?

越 川:はぁ、貸してやるって、あたしの事、気に入ってくれたらしくて...

大 竹:信じられないです、普段は宝樹さん、すごく良い人なのに...

越 川:(こら、大竹、なら、あたしは何なのよ?)

しらは:由美はマネージャーも代理人も無し、各団体から海外サーキットまで一人で転戦してるんだぞ、普段の人当たりが悪くてどうするよ。うちから出なきゃ、そんな余計な気苦労しなくて良かったのに。

(それにしても、由美が越川をか...分かるような気もするけど、何か企んでやがんのか?)

警報:戦慄の微笑み、魔女・宝樹由美、会場内に潜伏中!

 

 鬼姫、スイッチオン!

 

しらは

 こらあっ、ガキ!お前、あいつ(白川)のとこのジュニアチャンプなんだってなあ?

 スケジュール取れねえわけでも、どっか故障してるわけでもねえんだろ!

レフェリーで参加ってのはどういうつもりだ、ふざけんじゃねえぞ!

 うちはなあ、あんなんだけど(越川:...はい?)ジュニアチャンプ出してんだぞ、お前のとこは、チャンプ温存して、格下のブッ壊し屋ぶつけてくんのか。

 お前ら、自分のとこの格下レスラーが、勝ち負け無視の何でも有りでも、とにかく、よそのチャンプ、ぶちのめせたら大儲けだと思ってんじゃねえのか?きったねえ魂胆しやがって。

 お前ら、その気なら、俺らにも考えがあるぞ。

 ホントの「何でも有り」がどんなもんだか教えてやるから、よく見てろ!

 

まきな:あちゃー、やってるよお...

大 竹:あのレフェリーがあそこのジュニアチャンピオンだって聞いたら、いきなりプッツン...

真 帆:しょうがないなあ、よその団体なんだから、レスラーの管理体制、うちとは違うんだろうし、契約形態が違うかもしれないじゃない。いくら何でも団体ぐるみって事はないんじゃないの。

まきな:久し振りに、鬼Q(久世...だから)本領発揮だよねえ、このごろ、ちっとは丸くなったと思ったら、やっぱりダメだあ、ハハハ...

真 帆:せめて、「鬼姫」って言ってやりなよ、「鬼Q」とか言ったら、あいつ、もっと怒るよ。

大 竹:呑気にしてないで止めて下さいよお。

真 帆:だって、晶もノリコもいるじゃない。

大 竹:尾鷲さんも永井さんも、久世さんのやる事、止めたりしないです。もう、お二人でないと...

まきな:ダメダメ、おシズ(これも久世の事です)がああなったら、誰が行っても止まらないって。

真 帆:あいつ、「おシズ」も嫌がるよ、マキマキィ(巻島まきな、ですから...)

まきな:あーら、御免ね、マホたん。

真 帆:...ったくぅ。ああ、大竹、ほっといても大丈夫よ、ほら、しらは、言うだけ言ったら、とっとと行っちゃったじゃない...って、どこ行くのよお?まさか!

大 竹:いや、あっちのサイドは越川・さんの控え室です。

真 帆:何か、かえってヤバそう...

まきな:なら、見に行こう、面白そうだし...

 

 

控え室、大荒れ!

 

しらは:いいか越川!準決勝、血ダルマにされてヘラヘラ反則勝ちなんか拾いやがったら、

その場でトーナメント棄権、ジュニアチャンプのベルトも返上させるからな!

あの白川ってガキ、プロレスなんか、する気はねぇんだ。

ただ、お前をブッ壊せれば、それでいいんだ。

ケンカ売られてるんだぞ、

プロレスラーにケンカ売ったら、どういう事になるか、あのガキに教えてやれ!

ノリコ:あの、相手もプロレスラーなんですけど...

しらは:相手、痛めつけたり、血、見るのが好きなだけなんてヤツは、プロレスラーとは言わねぇんだよ!

そんなガキは、包丁抱いて電柱の影に隠れてるか、

カブキあたりでハゲの(ピーッ!)でも(ピーッ!)してればいいんだ。

越川、何やってもいいぞ、あのガキ、ブッ壊してやれ!

越 川:...負へれもひーんれすふぁあ?

しらは:何?

越 川:(痛いな、もー...)じゃあ、反則負け、オッケなんですよね?

それから、何やってもいいんなら、チャンスがあったら、あれ、やりますよ。

あれ、反則じゃないし...

 晶 :こら、待て越川!

しらは:...分かった、俺が許す。

最後までロックほどかなくていいぞ、頭っから落としてやれ。

 晶 :いくらなんでも、あれ、はマズいです。

相手が受け身トチッたらえらい事になりますよ。

しらは:受け身トチッたらえらい事になるのは、どんな技でもおんなじだ。

晶は俺に反対なのか?

 晶 :押忍、とんでもありません!

しかし、死んだらどうするんですか?

しらは:死んだらか...そりゃ、あのガキの寿命だ。

 晶 :しらはさん!

まきな:しょうがないよ、晶、元々、凶器ってさ、暗黙にしても相手の了解がなくちゃ使えないんだよ。

釘一本だって、加減のしどころ間違ったら、大変な事になるじゃないか。

どこまでやらせるか、どこまでやるか、もう、それこそ、お互いプロのテクじゃない。

そこら辺のとこ、あの娘、分かってるようには見えないもの。

まして、メリケンだよ、手前勝手にブチ込んだら、頭蓋骨折、脳内出血...出刃でエグんのと変わんないって。

鉄柱ダイレクト...鉄の棒で、頭メッタ打ちにすんのと、どう違う?

そんな相手の命、心配してたら自分が死ぬよ。

越川、何でもやっちゃいな。

あれにしたって、危ない事は危ないけど、ホントに死人まで出たわけじゃないし。

真帆、それで構わないよね?

真 帆:仕方ないわね、内輪だけにしてればいいのに、外に向かって、「潰す」の「壊す」の言う方が悪い。

まずは自分のとこのレスラー、守らなくちゃ。

 

久世が言った、巻島が同意した、高原が認めた、尾鷲が従った。

...これで決まった。

 

総力戦、ブッ壊してやれ!

 

 


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